最近の読書から~建築と、気候からフランスの歴史を見てみる

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もう今年も約2週間経ってしまいましたが、あけましておめでとうございます。
今年もtirimenJ5をよろしくお願いします。

今回は、お正月の間に読んだ本の紹介を。
建築と気候学(?)からフランス史を見てみる、というと何だか難しそうですが、
どちらも文庫本なので気楽に読めました。

「パリのグランド・デザイン - ルイ十四世が創った世界都市」中公新書

まず一冊目は、年末大掃除をしていて出てきたこの本。
もう数年前に買って、一度読んだものの、あらかた内容を忘れていたので再読しました。

フランス史を建築の視点から見るというのも、かなり面白いですね。

建築って美術・芸術として論じられるのが普通ですが、政治権力とも切っては切り離せないですね。

ルイ13世~14世時代の絶対主義、中央集権国家の形成が、その時代の建物の設計や建設方法からも感じられて思わずなるほど、と思わされます。

建物の設計で端的に言えるのは、やっぱり「身分」の差がより一層明確になっている、というところ。

例えば、
昔(中世)の建物は部屋と部屋の間に「廊下」がないんですね。部屋同士が連続している、つまり、2つ隣の部屋に移動しようと思ったら、必ず隣の部屋の「中」を通らなければならない構造で、プライバシーは今よりももっと曖昧で、使用人も貴族も同じように、ずかずかと全ての部屋を通って目的の部屋まで行くわけです。
ある意味、みんな筒抜け、って感じの生活だから、貴族も使用人ももちろん身分の差はあるものの、通る場所は一緒。

それが、ルイ14世の時代の建築になると、王や貴族用の階段と使用人が使う階段が別々に用意されます。貴族達の生活から働いている使用人の姿が消えてしまうわけで、ここから想像するに、同じ建物内でも身分別の階段を使うことを通して、身分の差、というものが心理的にも深く刻まれるように思われる。
それは、同じ一つの聖堂内に兵士用と貴族用の2つの聖堂をもつ「アンヴァリッド聖堂」にもいえると思います。
絶対的な王権を作るのに、いろいろあがいていた、その頃の建築はひとつの名残とも見れるかもしれません。

この本で一番最初に紹介されているのが、なんとルイ13世の宰相リシュリューが自分の所領に建てた町(「リシュリューの町」今もあるらしい)ですが、この今ではあまり知られていない町が、絶対王権を目指した花の都パリの計画の元ネタ(といっていいのか?)というか実験台となっていたというのは興味深い話です。
ベルサイユ宮殿など、ルイ14世時代の象徴的な建物の建築もいきなり出現したのではないんですね。

他にもこの本の中では、なぜフランスと日本では1階と2階の呼び名がずれているのかとか、アパルトマンで一番価値の高い階はどこかとか、広場の造成仮定とその歴史的顛末などなど、フランスの街や建物のなぜ?についての説明も歴史的な経緯とともに盛りだくさんで勉強になります。

「複合大噴火」文春文庫

大噴火とフランスの間に何の関係が??フランスに火山なんてあったか?と一瞬思われたかもしれません。

そうではなくて、この複合大噴火とは、1783年のアイスランドのラキ山および日本の浅間山の噴火です。

それで、なぜ噴火とフランスがつながるのか?
なんとこの小説は、この複合大噴火がフランス革命の遠因となっていたのではないか?という、ちょっと大胆な説がテーマになっているのです。

大規模な火山の噴火では噴煙や火山灰が大量に吐き出されますが、この大気中にまき散らされた物質が太陽光線を遮断してしまうため、地球が寒冷化します。
結果として、農作物の不作→飢饉→暴動という一連の流れが日本でもパリでも起こったのではないかというわけです。
日本は「天明の大飢饉」から革命にまではいきませんでしたけど。

ふつう、「フランス革命」といえば、ブルジョワジーの台頭とか啓蒙思想とか、そんな歴史の流れの結果として教えられてきた記憶がありますが、この小説のようないわゆる「歴史気候学」の方向から、もっといえば「その時代の庶民の空腹度」といったもっと切実な身近な感覚から歴史を見直してみる、というのもそれなりの説得力があって結構面白いです。
とはいえ、火山噴火の恐ろしさ、飢饉のおそろしさは凄まじく、ゾッとするし、いまこんな事が起こったら果たして自分は生きていけるのか?と考えると全く自信ないですね。。。

小説の舞台は、日本-アイスランド-パリ、と広範囲にわたっているので、同じ18世紀にそれぞれの地域で起こっていた事を比較しながら読めて、視点が広がります。

さいごに

フランス関係の本をこのブログで紹介(といっても、ちょっと変則的な感じですが)するのは初めてでした。
フランス史にも興味があるのでまたいろいろ読んでみたいと思っています。

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